2014年9月13日土曜日

Mosquite



 




















八月某日、
渋谷から横浜までの電車の中、蚊に刺されている女性が前に立っていた。
ん?立っている女性に蚊が刺していた、か。まぁどちらでもいい。
いや最近言葉が綺麗に並んでくれない。
そういや昔からお笑い芸人さんや落語家さんの話をラジオやYouTubeでよく聴いていると、話にキチッと筋道があってどこに終着地を持ってきてなおかつリズムを作りながら飽きささず、話をまとめ上げるという技術には本当に関心する。
自分にとって憧れの人と言っても過言ではない存在だ。
島田紳助さんが、話は声の出し方が非常に大事やと言っていたが、本当にそうや。
人を魅了してる人の話し方は本人がまず踊っている。
オーバーに話してるというのが良いという事ではなく、
自分なりの踊り方を習得しているという意味。
自分はと言うと全くもって逆。話下手、踊り方がダサい。痛いぐらい自負している。
噺家さんが100メートルプールをスイスイ泳ぐところ僕は五回ぐらい足がついてぜーぜー言いながら泳ぐ。息継ぎが出来てないのです。
今でも実家に帰るとコンコンと言われるが、小学生低学年くらいの頃阪神パークという遊園地が近くにあって、そこにスケートパークがあって好きでちょくちょく連れて 行ってもらってた。
僕は正直もうこのスケート場の中では一、二を争う程にスイスイ滑れて更に周りから注目されてるな俺!くらい思っていた。
というか最近まで本気で思っていた。
しかし家族全員が集まった時にその時の話なって、
「平(家での呼び名)ってスケートしてる時滑ってなくて走ってたよなっ」
「スーいスーいじゃなくてカツカツカツカツやったよな」と言われた。
しかも皆笑いながら、
いや大笑いしながら。
自分のイメージしてたあの格好良い、周囲からの憧れの眼差しは??
え? ってことは皆俺の滑りを見てわろてたんか。。
一気に恥ずかしくなり、過去の壮平少年に抱きつきたくなった。。
まぁそれほど、器用と思ってるけど客観視できてない勘違い野郎で…。
そんなことが今迄に多々ある。
だからある同じ体験を五人でして、
それを語ろう選手権があったら間違いなくどベタだろう。。

まぁ大きく道が逸れたが、蚊の話。
暑い時期東横線、電車で座っていると前に立った女性おそらくハタチくらい、おそらく大学生、おそらくイヤフォンから流れてるのはJUJUですかみたいな色白の女性。
パッと膝小僧を見ると蚊が止まっている。その蚊はなんでしょう、活きの良い、人間で言うところの高校一年生のサッカー部が母校の中学校に遊びに行って後輩相手にサッカーの技術を見せびらかして後輩こてんぱんにやっつけてるときみたいな感じ。
そんな蚊が太ももに止まって血を吸っている。これは痒い、絶対痒いやろなぁっと思っているうちに叩きたくなってきた。というより叩きかけた。手が出たところでハッと改めた。
少し前にコロンビアに行った時に、カフェでコーヒーとパンを食べていた時に店のおばちゃんにいきなりこめかみを叩かれたことがある。
おばちゃんはなんの表情も変えずに手に付いた虫を見せて「ほらな」っと。
礼でも言わんかいてなほどにやってやったといった感じで。
いやちょっと痛いしびっくりしてね、しかもなんか急にそんな後ろから叩かれてなんかいじめられっこみたいやんっと腹立ったけど、
後後考えると良いことしてくれたんやなぁ、なんて思ったことがあった。
それは結構極端な例やけど、海外では結構人への接触てあるんだと思う。コミュニケーションの一部として。でも日本ではそれはちょっと違う。触れることに対して抵抗の多い民族。
電車に戻すと、そんなことも思い出して、「これってどうするのが良いんやろぅ?」と自分の中で考え込んでしまった。
吸われて痒くなって後で掻き毟るならそれを止めてあげるのが優しさか?
いや、でもいきなり知らん髭面の男に膝小僧を叩かれることの不快感もあるわなぁ。
でも叩いた時に声を出して「蚊ー!!」とでも言えば分かってくれるか。
 いやでもその女性はもしかしたら痒みが結構好きかもしれへん。
自分にしてみても、汗疹掻いてる時何か頭にドーパミン的なものが分泌されてそれが気持ち良いと感じることあるし。
どうしよう。どうしよう。
そんな妄想が膨らんでる間にも高1サッカー部の体はぱんぱんになってきてるし、、
結局「かっ噛まれてる」と言えず、パンっと叩くこともできず。。
こういう時はそっと知らん顔するのが良いでしょうか?
久々にブログの更新にこんなことを言うのもなんなんですが、凄く気になったので書いてみました。
でも自分やったらどうしてほしいんやろう。。
もしかしたら女性が蚊に吸われてることがどこかドキドキしてしまったのか?
前に立ってるのが中年のおやじなら全く気にならなかったのか? 
中年のおやじならこめかみを叩けたか?
短時間の内にこめかみを叩いたことをそのおやじに説明できるのか?
説明した後にそのおやじが痒み好きの為逆に怒られたりはしないか?
そのおやじのこめかみをいきなり叩いた後に周りの人達は何を思うのか?
周りにその状況を理解してもらう為にも蚊の存在を言うのか?
じゃあなんて言うのか?
それをうまく話す技術が俺にあるのか?
「蚊ーですー!!!」か?
おやじのこめかみに蚊がとまることはあるのか?
おやじはほんまににおやじなんか? 
普段生活してると、複雑に飛び交う妄想が頭の中を駆け巡っていて、
それらはまとまりがなく繋がるようで皆それぞれ好きな方向へ飛び、まとまらない。
実際言葉として吐き出そうとするとなかなかうまくいかない。
というより僕はそういう想いと想いの分裂を繋ぐことが非常に苦手だ。
そんなもやもやした感覚を、
写真という存在が少し補ってくれてるのかもしれない。
あんなちっちゃいもんに振り回されて頭が痒い。

2014年4月26日土曜日

女性遍歴





2013年8月9日金曜日

BADMAN VS SUPERMAN!!!!

Exhibition "A Different Kind of Order: The ICP Triennial"/ICP
                                MAY 17–SEPTEMBER 22, 2013 
                         (http://www.icp.org/museum/exhibitions/icp-triennial-2013)

 ボゴタでの滞在後そのままニューヨークへ。
 International Center of Photography でのグループショーへ展示参加させて頂いていたのでオープングに出る為とギャラリーを巡る為でした。この展示は9月22日まで開催されているのでもしニューヨークに行かれることがあれば是非足を運ばれてみてはいかがでしょうか。展示はかなり見応えありです。レセプションもあまり言葉はその時の感情に追いつかないので表現が難しいですがいわゆるゴージャスかつクール、プライベートハウスでの二次会もアブソルートゥリーアメージングてなところでしょうか。色んな人を紹介されたんですが、おかんが電話に出る時のあの感じばりにうわずっていて...終始カチカチでしたね。。
日本人は僕とニューヨーク在住のアーティスト武田慎平さん(http://www.shimpeitakeda.com/
 
その時はロンドンから友人も来ていたので非常に楽しい時間が過ごせた。
出展作家で同じギャラリー所属でもあるアメリカ人のLucas Fogilia(http://lucasfoglia.com/)に実家に招いて頂いたんですね。
ニューヨークから電車で1時間程の場所にある小さな街、本当にニューヨークからちょっと離れるだけでこんなにも風景が違うかというぐらい自然の中にある家で、彼の両親は農家をしていて裏庭には広々とした畑が広がっていて、小さい頃はいつも裏山で遊んでいたらしく僕らを山登りに連れていってくれた。
美味しいという表現がありますが、それはけして食べものだけに使うものでは無いと思うんですが、それをその山で非常に実感したという感じでしょうか、
環境に当てはまる”美味しい”がそこにはあって、特に何か特別な景色があるというわけでは無いのだが、空気を吸い込み空気を吐き出すということをしに行く場所がある、それが目的の場所が実は本当に幸せなことだと思うんですね。
Lucasの両親とお昼にその畑で穫れた野菜で作ったスープとサラダを作ってくれ、皆で一つのテーブルで食べたその味は格別美味しかった。
彼のお母さんが僕に”あなたのお母さんは海外に行くことは心配していないの?”と 切ない顔で聞いてきた。最初は心配だったけど今はもう全くだ、でも内心は心配していると思うと応える。
お母さんは未だ息子がどこか私の知らない所に行っていることが心配なのだと言う。僕と同じ30歳という年齢で同じようなことをしている二人。僕はそのやりとり、その空間の親子の一連の会話、ロンドンから来ていたトリスタンの親子の話も聞いていたりしていて、世界広しといえどお母ちゃんはどこのお母ちゃんも同じようなこと考えてんのやなと思い、愛情たっぷりのスープを飲みながら母親のことを思い出したし、ほっこりとした気分になった。。

それにしてもタイムズスクエアでのバッドマンとスーパーマンの立ち話には笑てしまいましたね。一色触発すんのかな思って固唾をのんで見守っていたんですが、なにやら気があったのか終始ご機嫌でご機嫌で、家くる?みたいなことをスーパーマンの方が言っていたなぁ。 確かに袋にチューハイとか入ってたしパーティ的なことやるんでしょうな。


まぁ、ようやくデリーの長旅が昨日終わってテンションが上がっているので少々昂った内容になってしまいました。近日中にデリーの写真もアップロードします。

SOAP BUBBLE

Photo Festival called "Fotografica Bogota 2013"/Columbia,Bogota












ボゴタという街に行ってきました。(http://fotomuseo.org/fotografica_2013/
世界中からアーティストがボゴタの街に集まり、期間中は毎日色々なギャラリーや美術館でレセプションが行われ、現地の人達やアーティストと交流し、様々な出会いの場があり非常に充実感のある1週間でした。フェスティバル側の計らいで毎日色んな観光名所に連れていって頂き、楽しかったのです、が、、なかなか不思議な時間でもありました。というのも毎朝バスでホテルからアーティスト全員をバスで色んな所に連れだしてくれるんです。それもどこに行くということを事前に知らされずに街から2時間程の洞窟やら、変わったShowのあるレストランや、サルサバーや、皆”次はなんや”っみたいな半ばそのスリルを楽しむようになっていて。。 南米の陽気な風土がそうさせているのか、こういうおもてなしは他にはあまり無いですよねぇ、と唯一の日本からの参加者の写真美術館キュレーターの笠原美智子さんと話しながら関心してました。
しかし本当に今すぐにでも戻りたいと思うぐらい良い街で人も食べ物も素晴らしかったし、次は長期で訪れたいとおもいましたね。(ただ作品の輸送や色々細かいやり取りは正直考えられないと思うことも多々多々ありましたけど...)
しかし500人〜600人収容程の映画館のようなホールでカンファレンスができたことや、世界様々な場所から来ているアーティストとの毎日の時間は本当に良い経験になったし、中でも尊敬するTodd Hido(http://www.toddhido.com/) とも夜中にホテルのテラスで飲めたことも良かった。。
 様々な出会いをありがとうボゴタ!

2013年4月18日木曜日

日本写真協会賞新人賞













ありがたき一報が届きまして、
この度平成25年度日本写真協会賞新人賞を受賞致しました。
これからも作家活動を継続していく上で非常に励みとなります。
日頃支えて頂いている方々に御礼を申し上げます。 
http://www.psj.or.jp/psjaward/2013.htmlhttp://www.psj.or.jp/psjaward/2013.html

garam masala Delhi























インドデリーという街に1ヶ月と少し滞在しながら制作をしてきましたが、今回は一癖も二癖もあって、やはり中でもセキュリティの問題と嘘、この二つが頭を悩まされた一番の原因だと思う。いつもビルから撮影させてもらう時には、事前に交渉していたり、もしくは現地のアシスタントと直接交渉しながら許可を取るというやり方をしながら徐々に現地の人との関係性も出来、そこからまたネットワークが出来、人づてに紹介してもらうという方法を取っているが、デリーではそうはいかず、むしろ逆に何も許可を取らず半ば不法に(例えばホテルの場合勝手に客室に帰るかのように屋上テラスまでいくとか)アシスタントを従えずに一人で迷いこんでしまった旅行客のようにふらっとマンションの屋上に上がったり、というような方法が意外にもうまくいったりした。やはりテロ対策が厳しくて、マンションや、ホテル、オフィスビル、レストランなどには必ず守衛さんがいて、ほぼ全てのエントランスにX線検査がある。これはデリーの至るところに設置されていて、かなりめんどさい。全ての電車の改札機の前にもあり、毎日絶対乗る為鞄を検査しなければならない。特にフィルムを大量に持っているので、毎回ハンドチェックしてもらうというのも疲れた身体に追い打ちがかかる。デリーのCPというエリアで以前爆弾テロが何度かあり政府も片っ端から調べることを徹底している。 当然プロジェクトの為にこのビルの屋上から撮影させてくれというのも簡単にいくはずは無い。“何の為?”“誰の為?”“レターはあるか?”など質問はそれだけで、どれだけ重要なプロジェクトと説明しても門前払い。目も合わせてくれない冷たい人もいた。 
この日にレターを持ってきたら責任者がいるからというので、その指定通りに時間に行くと、あと“2時間後に帰ってくる”とか。そんなことはざらで、明日来れば撮影させてあげるというので次の日に行くと、“明日もう一度来てくれ”その次の日また行くと“明後日なら絶対大丈夫”...OKわかりましたと明後日、そこの責任者休み....。電話しても出ない....。みたいなもう笑うしかない状況。事例をあげていくとほんとにきりがないが、まぁとにかくそんなことが日常的にある感じで。。 
40℃近い天候のもと都市を歩き続け、大量の人の熱気、スパイスとギィの香り、止まないクラクションの音、オートリキシャや車の排気ガス、埃、小便、豪雨、雷を1ヶ月の滞在の中で全身にばさっと浴びせられ、それを流すのにまだまだ時間がかかりそうだが、流れ落ちる前に制作にかからねばと思う。

今回は様々なことを受け入れるということを非常に意識した旅になったと思うし、 15都市目を機に、手探りの状態で、わけも分からぬままただただ路頭に迷い、地図と格闘していた初期の海外撮影の記憶を思い返すことができたことは、良い機会になったと思う。

いつも心の中で“恐るべしインド”と呟いていたが、総称したその言葉もデリーの地図に反映したいと思う。スパイスをきかせたピリ辛な作品、汗をかきながら制作したい。